ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"烏野、復活"を見てきた日記

ハイステ東京公演、11/4ソワレを観劇してきました。


すごかった。すごいもん見たなあ、そうきたか、そうか、え~もう無理…。って感じで怒涛の2時間半でした(語彙力
今公演では、音駒・伊達工とも、キャラクター再現性もチームカラーの説得力がすごくすごくよかった。…んですけど、見終わってからはずーっと池尻くん、常波のことばっかり考えています。
当たり前なんだけど、どこかが勝てばその裏ではどこかが負けているのだな、ってのを強く強く読者の脳裏にしみこませたのがこの常波戦だった。
常波、それから、烏野女子バレー部のこのエピソード、嫌いな人はいないと思うし、実際、原作で読んだ時もアニメで見たときもぼろっぼろに泣いたんですけど、まさかこう、3次元でこれが見られると思ってなかったので…、そしてその出来があまりにも良かったもので生きててよかったなあ~…っていう。…宗教かよ。

前回に比べてキャストの絶対数も多いので、いろんな人を見たくて目が足りないし、なんなら舞台上の人口密度がすさまじかった。よくぶつからないで動けるなあ、ってキャストさんたちのお稽古の量を考えてぞっとしたり。
12月の凱旋もなんとか2公演は入るので、そこで気になったところをガン見したいです。

以下、ネタバレのようなそうでないような、ふわっとしたスタイルでいきます。



化け物ふたりの邂逅~OP

研磨が化け猫感の薄い、ちゃんと人間味のある研磨だった。連載初期の研磨って、こんなにかわいげのある子だったかなあって考えちゃった。
私、日向と研磨っていう化け物ふたりの食い合わせ(誤字じゃない)がすごく好き。
アニメではふたりが出会うシーンには風が吹く描写が加えられていて、それを見るたび、あれはヒーローがヒロインと会う時の定石だからboy meets boyじゃん~! とかふざけたこと言っちゃうんだけど(すごく好き)、今回はきちんとバレーボール選手として少年期のふたりが出会った演出がなんとも微笑ましかったです。
そこから子猫に出会って、ライブカメラ、からのOPもよかったです。子猫は笑っていいのかちょっと考えたけどw
OPは相変わらずカッコイイ。百万回くらい言うけど、ハイステはOPのためにチケ代を払ってもいいとさえ思わせる、そんな舞台だなあっと。
全キャラまんべんなくスポットを当てる。そういう、原作の姿勢そのままのOPからの、常波・池尻くんの登場で舞台の空気が変わった。

個人的なMVPのはなし。

いきなり話は変わるんだけれど、今公演のMVPは常波高校・池尻役の松田裕さん。絶対。
音駒も伊達工ももちろん烏野も良かったのでめちゃくちゃ迷ったけど、でも、MVPは松田さんだと思う。松田さんの"普通の高校の普通の男子バレー部員"としての存在感が絶妙だった。
また、今公演のベストオブしんどい/心細いも、池尻くん(=松田くん)だと、私は声を大にして言います!(中の人としてのしんどさはわかんないけど、役柄としてはめちゃめちゃしんどい)
ひとりぼっちで烏野メンツに囲まれるところ、見ていてほんとうにしんどくてぼろっぼろに泣きました。
今回、常波高校のキャストは彼ひとりです。彼ひとりで、一回戦のvs烏野戦を戦うのです。これはきっとハイステ見てない人にもニュアンスとして伝わると思うんだけど、ハイステ見た人にはもっと伝わるんじゃないかな。
烏野メンツの圧っていうのかな、それが今回すごい増したなあと思って。そこにいるだけでびりびり痺れるような、そういう華っていうか、いや考えるとやっぱり華じゃなくて圧なんだけど――それに常波の名前付きとしてたったひとり対峙した彼は、ほんとうにすごい役者さんだと思います。よく耐えたなあ…。
芝居の上手下手でなく、佇まいのゆらぎとか、大地さんと対峙した時の体格差とか、あまりにも普通すぎるところとか、そういう全部ひっくるめて常波高校の池尻として最高のキャスティングだった。すごくすごくよかった。地方公演を経ての凱旋公演も、心から楽しみにしています。

常波戦、水の演出

なんでこんないきなり松田さんの話をしたかというと、曲に合わせてのOPに唯一出てこなくて、アレ? って思ってたら、暗い舞台に池尻くんだけが登場して、私がそこでめちゃくちゃに興奮したからです。
常波モブくんたちの落ちた強豪っていうイメージとしての言葉が、まずスポットを浴びてひとりたたずむ池尻くんにそれこそ雨あられのように降り注いで、それが波及して、今度は烏野メンバーに突き刺さっていく…っていうのが、今公演の全体、特に常波戦(=公式戦)を通しての演出でした。常波モブくんたちのトリノってどこ~? イギリス? とかっていう、ゆるゆるしたあの会話たち。普通の高校生らしいあの会話たちが、演出次第でこんなに冷たく感じるなんて思いもよらなかったからすっごいぞくぞくした。
雨、というか水の使い方は、ちょっとだけ初演再演の旭さんエピ~伊達工回想に似ていたかもしれない。
水族館の深海魚コーナーみたいだなってなんとなく感じたかなあ。ブルーライトで照らされて、ちょっと得体のしれない感じ。咎められることはないのに、自然と声を潜めちゃうあの感じ。常波戦はずっとそんな空気で進んでいくんです。ライティングも寒色系だし、舞台上の空気がじっとりと沈んでいて、見ていてひどく暗くて、残酷で、うわ~…って目を覆いたくなりました。
ハイキュー原作では雨の描写って全くといっていいくらいにないのだけど、アニメと舞台では雨や水音を効果的に使ってる気がする。初演・再演の旭さんのエピソードも雨のSEと演出があったし、あと、王様って呼ばれた影山の回想シーンでも足元に波紋が広がる演出があった。どちらもキャラの心情と、それから、烏野全体にはびこる閉塞感、底冷え、そういうマイナスの感情の象徴だと思っていて、だから初演再演のあのシーンたちも見てるとだいぶ落ち込むんだけど…。
でも、あっちはつらさをチームとか、複数人で背負えるじゃないですか。まあほんとうに心臓がちぎれそうなくらい痛いのは本人だけかもしれないけど、周りに救いを求めることだって(しようと思えば)できる。松田さんはね、唯一の常波メンツだからひとりでこの常波の空気をまとってなきゃいけないんだよ…? …くっそしんどくない?

チームになるということ

常波絡みのシーンを一貫する雨のような言葉の演出に続いて、コートに倒れ伏す烏野メンバーっていう衝撃的な画面、それを経ての、立ち上がる烏野。チームとして、ね。
漫画だと常波戦までのひと通りの烏野の成長やドラマを見ているから、烏野に対して作品中の人々が抱くようなネガティブさとか、どうせ今季も弱いんだろう、みたいな感情はこれっぽっちも抱かなかったのだけれど(…というか、そういう印象すら持たれていないかもしれない。ダークホースにもほどがある烏野)、今回は武田先生の「君たちはチームになったんですよ」ってセリフ(うろ覚え)がすごく心に響いた。
そうかー、そういえばこの人たちまだ二か月も一緒にプレイしてないんだ、ってここで初めて思った気がする。原作でもアニメでも、全く思わなかったんだけど。
もちろん、音駒との練習試合も烏野メンバーに「春高センターコート!」っていう約束と、「落としたほうが負ける」っていうバレーの本質を刻み付けるうえでものすごいモチベーションになったと思うけど、そのあと、初めての公式戦で、初めて彼らが宮城県高校バレー界に飛び出した感があった。
ここから、始まるんだな、って思った。"烏野、復活"って、こういうことなんだなあ。


…ここまで書いて力尽きかけているので、あとはもう箇条書きで行きます
・4巻24話。察して。無理。無理だって。
・合宿所の布団の演出めっちゃ楽しい。これ考えたひと優勝。
・音駒メンツの身体能力すっごいんだけど!?!? 特に夜久さんと福永くん…! 福永くんめっちゃかわいいし動きがトリッキ~だよ!
・研磨と黒尾の幼馴染エピソードは笑っていいんでしょうか。
・伊達工は、なんか300始まったと思ったらフリースタイルダンジョンだった。ごめ、めっちゃ笑った…。でも、青根が全然しゃべらないキャラなので彼個人の強さ&伊達工の男所帯の力強さを示すには、まああれが一番良いのかもしれない~…? まあなんにせよとても楽しかったのでこの演出考えた人ほんと頭いいな。しかし須賀健太くんは今回いろんなスキル求められすぎwww
・作並くんがかわいいofかわいい。どこだったか、すんごい身体を後ろに反らしたポーズで一時停止する一場面があったんですが、あのほそっこさでぴたりとぶれずに体勢をキープしてたので体幹強いな!?!? ってびっくりした…それにしてもちっさかった…かわいい…リベロ…でもあのかわいいかわいい作並くんが黄金川呼び捨てとかするんやろ? うっわ…恋に落ちてしまう…。


結局個人の萌えどころに落ち着いた感じがしますが、今回は圧倒的に目が足りなかったので、12月の凱旋公演で目を皿にしていろんなところを凝視して来ようと思います。
また別記事でかけたらいいな!