10/22(日)ヨーロッパ企画「出てこようとしているトロンプルイユ」、ゴジゲン「くれなずめ」を観た

衆議院選挙の日。台風が日本列島を覆って、だいぶ天気がぐずついた日。
私が下北沢に来る日はいつも傘を持っているなあなんて思いながら、舞台をふたつ見てきました。
びみょ~~~にネタバレありかも。勘の良い方は展開に気づくかも、くらいのネタバレです。

13:00~@本多劇場
ヨーロッパ企画「出てこようとしているトロンプルイユ」
www.europe-kikaku.com

18:00~@駅前劇場
ゴジゲン「くれなずめ」
www.5-jigen.com

どちらもとても良い舞台でした。
作劇としてはまったく別物ですし、観劇後の味わいもそれぞれに異なったのですが良いものはいい。ひとつの作品としてうつくしく完結しているのだけど、そのくせ観ていた側にいろいろと投げかけてくれた気がします。やっぱり作品は作品世界で完結してほしい。心を揺さぶってくる作品はうれしいけれど、観客にアレコレつじつま合わせを考えさせる舞台はあんまり好きじゃありません。手法として玄人っぽく見栄えがいいのはわかるけど。

「出てこようとしているトロンプルイユ」は、後半の畳み掛けがすさまじくて。てんどんに次ぐてんどんに、最初は笑っていたのですが、4、5回目かな。登場人物の一人が「
デジャビュを感じるんだけど…」と言ったあたりですごくゾっとしました。
画家3人組がていうかていうか小うるさい芸術議論をするシーンとか、すごく楽しかったです。
パリへようこそようこそパリへ、のくどい感じが好きですね。
それと、暗転前、セットを見てこれ撤収とか大変そうだなーと思っていたら、途中全部ぽいぽい捨て始めてw えっこれだけの小道具を再セットするの!?って驚いてたら劇中まさかの巻き戻しがあって笑いました。なるほど。そうくるのか。

そして、ヨーロッパ企画さんを見た後の、「くれなずめ」。個人的に、ものすごーーーーーーく好きな芝居でした。
お骨ひろいの話とか、学園祭の話とか、結婚式のあとの所在なさとか、世の中にありふれたことをすこしずつ縒り合せて、そうやってできたなんでもないひとたちのなんでもない人生の話という感じ。
でも、なんでもないひとたちの話だからこそ、身につまされるというか。
いつか死ぬってわかってても全力でばかり走ってられないことを心のどこかで怒っていたり、でも言い訳してたり。
いつか会えなくなるってわかってるのに、次を期待してしまって、いますぐ会いに行こうという心を決められなかったり。
長いものに巻かれたいきもちと、いや自分は『何者』かになれるんだって高楊枝くわえてやせ我慢してるきもちとか。
完全に理解したとは言わないけど、部分部分身に覚えがあるからこそ、ああああーーーつら!しんど!ってなりながら、心を引っかかれながら見ていました。途中ちょっと涙ぐんでしまった。
見に行ってよかったなあと思います。
タイトルのセンスもすさまじいなあと。それこそ「たそがれ時」とか「くれなずむ」でもいいのに、「くれなずめ」。私にもこういうセンスが欲しい。

「くれなずめ」のアフタートークヨーロッパ企画の上田さんがいらしていて色々とお話伺えたのもよかったです。ふたつの舞台の類似点とか、ゴジゲン主宰の松居さんのこだわりとか、おふたりの出会いとか。

なんのこっちゃという感想ですが、以上!