ちとせももとせ

広く浅くミーハー人間の備忘録。

8/2~8/6 舞台「片想い」の感想---いまさら言う。

※これはメモ帳に仕舞い込んでいた8月の舞台「片想い」感想を勇気を出して記事にしたものです。


 たかだか6公演で全通って言うな!なんて野暮は言わないでくださいね。(第一声がこれです)
 8月6日、方南ぐみ企画公演「片想い」全6公演が無事に幕を下ろしました。出演者・スタッフのみなさま、劇場へ足を運んだ客席のみなさん、5日間お疲れさまでした。
 2公演目とそれから千穐楽公演のご挨拶で津田さんがおっしゃったように、戦争から焼け残った劇場で戦争から焼け残った動物園の話を演じること、そして、今回たまたま8月6日が日曜日に重なったからかとは思いますが、原爆の日に戦争もののお芝居を演じること、いろいろと考えざるを得ない舞台でした。
 "あの日の空は青かった"と、当時を生きた誰もが言います。久世光彦も、彼のエッセイの中でその話をしていますね*1。戦争を描いた映画は多く製作されていますが、その中でも終戦の日、特に玉音放送のシーンでは雲一つない青空がスクリーンに映ることが多いですよね。岡森さん演じる園長の「たいへん、気持ちのいい日です」というセリフは作中の焦点をぐっとその一点に引きつけるいいセリフだなあと思いました。私もあんなセリフ書いてみたい。

 また、私事ではありますが、この舞台「片想い」、私が今現在応援しているアミューズ所属の俳優・正木郁くんの初舞台でして…もう正直、けっこうメンタルがぐちゃぐちゃになってました。
 応援している役者さんなんだからだいじょうぶ!と思う私と、いやいやいやでもいままで俳優としての彼は見たことないでしょ、好みじゃないお芝居をするひとだったらどうする?っていう私が喧嘩してましたから。スケジューリングの問題なんかもあって、初日を迎えるまで不安要素の積み上げもすごくって!!!!!*2
 でも、推しの人生初舞台なんて遭遇できるチャンスもないだろうと、舞台「片想い」に合わせて夏季休暇を取り、全通しました。
 行ってよかったです。めちゃめちゃよかったです。

 私はチヅから郁くんを知った人間です。
 チヅって特徴的なキャラクターなのですごく演じやすいと思うんです。オーバーに演じれば演じるほど二次元っぽさ、作り物っぽさが出てくるし、彼のキャラクターは二次元だからこそ許される部分がたくさんある。だからこそ、新人さんだった郁くんがチヅを演じるのって比較的楽(言葉が悪いですが)だったんじゃないかなと思います。
 上でも言ったように、郁くんの素顔なんて全く知らないし、一介のファンはそんなの知る必要はないと思うんです。だから、私が知る彼はいつもにこにこと笑っていて、自分を下げる、と言えばいいんでしょうか、やられ役と言うんでしょうか、ちょっとピエロっぽく振舞うこともあって。そういう、DearDreamの一員として演出して私たちに見せてくれる素顔を割り切って楽しんでいるつもりなんです。私個人の感覚は。まあそんななので、それ以外の郁くんの振り幅を知らないわけです。見せてもらってないから。見せてほしいわけじゃないです。そこは勘違いされたくないので言っておきます。私はただのファンであり突き詰めると自分勝手な消費者なので自分のこと以外に責任は持てないです。そんなの怖い。
 話を戻すと、そんな風に、この舞台が始まるまでは「郁くんの演技がもし私の好みじゃなかったらどうしよう…顔ファン? 姿勢ファン? どう名乗ればいいんだろう…、ていうかそれ6公演も見るのつらいよね、どうしよう」というすげーむちゃくちゃな心配をしていたわけです。自己中心的で最低すぎるね。まあ前日なんかはもし下手だったら下手だったなりに公演ごとの成長を見よう、そこで役者としての素質が多少なり見つけられるよ…と自分を落ち着かせていたんですけど。結局最低。

 さて、郁くんの話をしてもいいですか。勝手にしますね。これまでも郁くんの話だったけど、郁くんの話をします。
 この6公演、毎回友人知人を連れて行って隣で見てもらったんですが、ドリフェス!をよく知らない人からはだいたい第一声「郁くんのこと、出てきた瞬間すぐには見つけられなかった! 探しちゃった!」って。ひゃーーーーーありがとう!!!!!(?) いや意味わかんないよ、なんでありがとうなんだよって感じですけど、すぐに見つけられなかった=溶け込んでた、なじんでた、と良い方に解釈してもよくない? いいよ! ありがとう!
 今回舞台上ではシズオを演じた郁くん。チヅじゃない郁くん、郁くんじゃない郁くんがそこにいました。それってつまり俳優・正木郁。
 舞台の写真レポがアミュモバさんに載っているので、もうご覧になった方も多いと思うのですが…いつもとぜんっぜん違うんですよ! チヅのちんまり華奢な少年体型な印象に引っ張られてか、かわいらしい印象が強めですが、郁くん、なんだかんだ背も高いし結構体格はがっしりしてるんですよね。間近で見るたび「うわ!?」てなる。だからこそ、今回戦時中という時代背景に合わせたざっくり・質素な衣装だとより目を欺かれるというか。最近の若手俳優さん、すらりと細い方が多いので、肩幅がっしり脚もしっかり骨格がしっかりしてるなーっていう郁くんにやたらと目が行ってしまった。えっやっぱ大きいな!?とすらw
 シズオは基本へらへらしていて、お調子者で、受けもしないダジャレを延々言っているような人物。このシズオが、森本先生に「私、あなたが苦手なんです」、って言われてからの一連のシーンがとても好きです。一瞬あてがきかな?と思うせりふを森本先生に言われるので、そこでどきっとしたのですが、前回公演でも同様の会話はあったよと教えてもらったので生きながらえた。そこから岡森さん演ずる園長、森本先生、郁くんの三人芝居があって。「園長、」って言うところが静男(対人用)から静男(素)に戻る瞬間のお芝居だと思うんですが、この声が全然違う。これまで観客が見てきたシズオではないし、郁くんの声でもなくて、私はここがいちばん好きだった。ここでいちばん驚いた、演技うまいなって思った。
 声。うん。声が好きなんです。郁くんの。ちょっとひび割れたような、尖った風情があるけど、本人が意識すればどこまででもソフトに響くし。ひとりラジオの語りかける口調とか、たまにツイッターにあげてくれる動画とかが顕著ですね。声だけで、どんな表情してるか想像させてくれる楽しみがある。
 あとは、このシーンでは基本的に客席に背中を向けて芝居をしているのだけど、背中で演技ができるんだな、上手だなって。上手端にいた日はすこしだけお顔が見えて、もちろんそのときはガン見したけど。郁くん、とてもいい表情をするなあって。決まり悪そうな顔。そのあとで、自分の話なので自分が、という時の顔はやさしげで、園長がガンガン話進めるところはまた違った風に困惑顔。
 うれしいことだらけでした。

 郁くんって別に私好みのお顔でもないし(…)、この舞台が始まるまで芝居もちゃんと見せてもらったことがなかったし、じゃあなんでこうも見ていたくなるのかなって公演期間中にずっと考えていて、まあひとつ答えが出たかなって。
 なんかね、見ていたら幸せにしてくれそうな気がする。ていうか、なれる。
 カーテンコールで晴々したお顔を見せてもらったこととか、だれよりも大きな声で「ありがとうございました!」って言うところとか、ライトを受けて目がきらきら光ることとか、あとは、遡って2016ハンサムの千秋楽挨拶とか。
 ことあるごとに冗談めかしては未来のために投資したい、って友人に零していたけど、このさき彼がライトを受ける立ち姿をまた見られるのなら、やっぱりその未来のために投資させてくださいって言うよ。それが楽しい。
 もちろん私が彼のために使えるお金には限度があるし、大した金額ではないし、自分勝手なのでいつまでだって投資できる自信がないのであまり大きなことは言えないのですが、すくなくとも俳優・正木郁を見たがってる人間が今この瞬間ここにいるんだよという、そういう意思表示はしたいよね。朗読劇「逢いたくて…」はチケットを郁くん名義で買えたので、それもほんとにほんとにうれしかった。

 なにが言いたかったかわかんないけど、推しの初舞台を見届けられてよかったです、という話でした。
 さいごに、最近、郁くんを見ていたら思い出してしまう短歌があるのでご紹介を。

夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう
                          ---穂村弘

 夢の中で光ってくれるだけでじゅうぶんじゃないですか。

*1:余談ですが久世光彦は戦時中、富山で疎開生活を過ごしたそうです。私も富山出身なので親近感が…♡

*2:おれサマーとか上海とか、個別に見ればとてもいい経験だったと思いますが、8/1の緊急生放送に関してはきっとこれからも思い出してはぐちぐち言う